皆さんは、アスベストについて、ご存知でしょうか。名前は何となく聞いたことはあっても、どのようなもので、どこで使用されているのかわからない方もいるかもしれません。今回はそんな方のために、アスベストが引き起こす健康被害や病気、その危険性などについて詳しく解説するので、ぜひ最後まで見てもらえたら幸いです。
アスベストとは?その使用と健康への影響
まず、こちらでは、アスベストについて、簡単に説明します。アスベストとは、天然にできた鉱物繊維であり、別名、石綿などと呼ばれている場合もあります。アスベストは、とても細い繊維となっており、熱や摩擦などに強いのが特徴です。
それだけでなく、丈夫で変化しにくいという特性を持ち合わせていることから、これまでに多くの建物や摩擦材に使用されてきました。しかし、後にアスベストは、肺がんや中皮腫を発症する発がん性が問題となったため、現在では、原則として製造や使用等が禁止されています。
アスベストを吸うとどうなるのか?
アスベストは、肺に入り込みやすいという大きな特徴があります。これは、アスベストが非常に細かい繊維で、小さいというのが原因です。肺に入り込んで、アスベストが肺に沈着してしまうと、丈夫で変化しにくいという性質を持っているということもあり、肺の中に留まり続けてしまうのです。
アスベストの危険性
アスベストには、発がん性があるのが大きな特徴です。アスベストは、肺の中に沈着すると、何十年という年月をかけて、肺がんなどの大きな病気になってしまうことが確認されています。
アスベストは、目では見えないほど、小さい繊維でできているため、自分では気付かぬうちに吸い込んでしまう危険性が高いのです。そのため、アスベストが含まれている場所には、なるべく近寄らないようにするのがよいでしょう。
アスベストによる主な健康被害と病気
次に、こちらでは、アスベストによる主な健康被害と病気について、解説します。アスベストを吸い込んでしまうことで、発症してしまう病気というのは、いくつか存在しており、下記のとおりとなっています。
石綿肺
石綿肺は、び慢性間質性肺線維症とも呼ばれており、曝露してから、10年以上経過した後に、胸部X線で下肺野に不整形陰影を呈する初期病変が現れるというのが特徴です。
こちらは、肺がんなどの合併症に注意する必要があり、曝露を中止してからも、症状が進行していく場合があるという恐ろしい病気となっています。
悪性中皮腫
こちらの悪性中皮腫は、胸膜・腹膜などに発生していく悪性の腫瘍となっています。悪性中皮腫は、曝露してから約30~50年後に発症するといわれており、頻度としては、胸膜原発が1番多く、その次に腹膜となっています。
そのため、曝露した過去がある方などは、胸膜中皮腫も考慮に入れる必要があるということを覚えておきましょう。また、若い時期にアスベストを吸い込んだ方のほうが、悪性中皮腫になりやすく、潜伏期間は、20~50年といわれています。
び慢性胸膜肥厚
通常だと、癒着していないはずの臓側胸膜と壁側胸膜が、良性石綿胸膜炎を発症することで、胸膜が癒着して硬くなってしまい、呼吸困難を引き起こします。このような状態が、び慢性胸膜肥厚です。
び慢性胸膜肥厚は、良性石綿胸水の後遺症として発症することが多いのが特徴ですが、必ずしもアスベストが発症の原因とは限らない場合もあります。
アスベストのリスク管理と予防策
アスベストは、重大な病気を引き起こしたり、大きな危険性を秘めているということを、上記では、お伝えしました。では、アスベストの吸入を防ぐためには、どんなことに気をつけていけばよいのでしょうか。こちらでは、そんなアスベストのリスク管理と予防策について、解説します。
事前の調査が大切
アスベストの曝露を防ぐためには、事前調査がとても重要となってきます。近年、建物を壊す際には、アスベスト含有の有無を確認するための事前調査が必要となりました。
その事前調査で、しっかりとアスベストの有無や含有量を調べることで、工事の際にアスベストの飛散防止の対策が取れるようになるため、事前調査は、非常に大切であるといえるでしょう。
工事の際の飛散防止に努める
アスベスト除去作業の際には、飛散防止剤を塗布したり建物を徹底的に隔離するなどして、アスベストの飛散防止に努めるというのも予防策の1つといえます。また、作業員は呼吸用保護具を着用させる等の必要な措置を講じて、曝露を防ぐのも重要です。
そして、工事開始前に近隣の住民への注意喚起と理解を得ておくというのも、トラブルを防ぐためには大事なポイントといえるでしょう。
まとめ
今回は、アスベストが引き起こす健康被害、その病気や危険性などを中心に解説しました。近年、建物を壊す際にはアスベストの有無を確認するための事前調査が義務化されました。そのため、アスベスト除去工事は注目を集めています。
いざという時のために、今回紹介したアスベストによる健康被害やその危険性を理解しておくことは、非常に重要といえるでしょう。皆さんも、アスベスト除去作業などに携わる機会がある際には、上記のリスクについてよく学んでおきましょう。
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- 「特定建築物石綿含有建材調査者」ほか多数の資格を保有