建物の解体・改修の際は、アスベストの含有有無を調べるための事前調査が必要です。調査によってアスベスト含有が認められる場合には、飛散を防ぐための特殊な工法を採用することで、作業員や周辺住民の健康を守ることができます。今回はアスベストの概要や具体的な工法の違いを解説するため、ぜひ参考にしてみてください。
アスベストの特性と健康への影響
現在の日本ではアスベストの製造・使用が禁止されているうえ、アスベストを含む建築物の解体時には特別な取り扱いが求められます。ここでは、アスベストの概要や健康被害について詳しく解説しましょう。
アスベストとは
そもそもアスベストとは天然鉱物のひとつであり、石綿(いしわた)とも呼ばれる素材です。丈夫で耐火性や断熱性、防音性などの性能にも優れており、さらに安価な素材であったことから、高度成長期には数多くの建築物に使用されていました。
しかし、アスベストは、繊維が非常に細かく、空気中に飛散しやすいという特性があるのです。周囲の人は気づかぬうちにアスベストの繊維を吸い込んでしまう可能性があり、健康被害が分かっている現在では取り扱いにさまざまな規制を設けています。
アスベストの健康被害
アスベストの繊維を吸い込むと、体内に残った繊維が肺の組織に影響をおよぼすことで、呼吸器系の疾患を引き起こします。肺機能の低下をまねく石綿肺のほか、肺がんや悪性中皮腫などを患う可能性も高いです。
また、アスベストにはさまざまな種類があり、種類ごとに発症リスクのある疾患も異なります。日本でもっとも広く使用されていた白石綿(クリソタイル)は、アスベストの中でも発がん性が高いことで知られているのです。
アスベストの飛散を防止する3つの方法
現在ではアスベストを含む建材の使用は禁止されているものの、法改正前に建築された建物にはアスベストを含む建築物も少なくありません。そのため、建物の解体・改修時などにはアスベストが含まれているかどうかを調査することが義務付けられています。
アスベストの含有が認められる場合には、飛散を防止するための特別な工法を取り入れることが必要です。ここでは、アスベスト調査においてアスベストの含有が認められた場合に、飛散を防止するための3つの措置・方法について詳しく解説します。
除去工法
除去工法とは、アスベスト建材を完全に取り除いて別の建材と入れ替える方法です。除去工法は「掻き落とし・切断・粉砕による除去」と「掻き落とし・切断・粉砕によらない除去」の2種類に分けられます。
アスベスト含有建材を含む建築物の解体・大規模改修の際には、除去工法の採用が必要です。除去工法では当建物にアスベストが残らないため、工事後のメンテナンスや点検が不要になります。
ただし、建材の取り替えの際に厳密な管理が求められることから、ほかの方法と比較すると工期が長くなったり、工事費用が高くなったりする点がデメリットであるといえるでしょう。
封じ込め工法
封じ込め工法とは、アスベスト部分に固化剤を使用して封じ込める方法です。封じ込め工法には表面を固める「塗膜性封じ込め処理」と、内部まで浸透させて固める「浸透性封じ込め処理」の2種類があります。
除去工法と比較すると費用が安く、工期も短いのがメリットです。一方で、封じ込め工法ではアスベスト自体を取り除くわけではないため、工事完了後にもメンテナンス・点検が必要となります。
囲い込み工法
囲い込み工法とは、アスベストが吹き付けられている建材を別の建材でおおう工法です。囲い込み工法が有効となるのは、アスベスト含有吹き付け材または保温材に限られます。
囲い込み工法は除去工法よりも衛生管理・安全管理がしやすいものの、封じ込め工法同様アスベストを取り除いているわけではないため、工事後のメンテナンスや点検が欠かせません。
困ったときは専門業者におまかせ!
アスベスト専門業者では、事前調査からアスベストの除去工事、行政手続き、産業廃棄物の処理など、アスベストに関する全業務にワンストップで対応しているケースも多いです。
どのような流れを踏んでどのように手続きしたらよいか分からない人は、アスベストに関する知識を備えた専門業者に依頼するのがよいでしょう。また、現地調査を通して費用面や工期も考えながら最適な対応・工法を提案してもらえるため、まずは相談や見積もりを依頼してみるのもおすすめです。
まとめ
今回は、アスベストの概要や健康被害のほか、アスベストの飛散を防ぐための具体的な工法について詳しく解説しました。アスベストは丈夫さや性能に優れていることから主に建材として使用されていましたが、肺がんなどの健康被害が確認されたことをきっかけとして、現在は製造・使用が禁止されています。アスベストの飛散を防ぐ工法には除去工法・封じ込め工法・囲い込み工法の3種類があり、それぞれでメリット・デメリットが異なるのです。どの工法で工事すべきかについては、専門業者が現地調査の結果と依頼者のニーズを考慮して提案可能であるため、アスベスト対策を検討する際は、まずは信頼できる専門業者に問い合わせしてみるのがよいでしょう。
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- 事前調査から分析まで一貫して対応
- 「特定建築物石綿含有建材調査者」ほか多数の資格を保有