アスベストは以前、建築現場で断熱、保温目的などで活用されてきました。しかし飛散したものを吸い込むと肺線維症、悪性中皮腫などの原因になる危険性があきらかになり、原則使用が禁止されました。そのため古い建物はアスベストが使われている可能性があります。今回はアスベストのレベル、使用される個所など基本知識について述べます。
アスベストのレベル分類とその基準
アスベストは粉じんの発生しやすさでレベルわけがされています。危険度に応じて保護衣、防じんマスクなどを装着して除去作業をする必要があります。また作業者や近隣の方に健康被害が起きないよう安全に配慮した対応が必要です。
どんなレベルわけがされているのか、どんな基準でレベルわけがされているのかなどについて述べます。
レベル1
レベル1に分類されるアスベストは粉じん性が著しく高いものとなっています。レベルの数字が上がっていくごとに危険度が上がっていくのではなく、レベル1が最も危険性が高いのがレベルわけの特徴です。
レベル1に分類されるものは吹き付け材として用いられていることが多く、綿のような状態のことが多いでしょう。そのまま撤去しようとすると大量に飛び散ってしてしまうため、アスベストが飛び散らないよう対処してから撤去や解体が必要になります。
除去作業を行う作業者は防じんマスクや保護衣などで厳重なばく露防止対策を行う必要があります。
レベル2
レベル2に分類されるものは空調ダクト、ボイラーなど保湿材として用いられている場合が多いです。レベル1よりは危険性は低くなりますが、密度が低く軽いものが多いため、もし崩れてしまった場合は大量に飛び散ってしまう危険があるため注意が必要でしょう。レベル1に準じたばく露防止対策が必要です。
レベル3
レベル3に分類されるものは天井や床、壁などの建材に含有されていることが多いです。また屋根の建材の石綿スレートとして用いられています。粉じん性はレベル1、2と比べると低くなっていますが、破砕や切断する場合は飛び散ります。そのため防じんマスクをして作業する必要があるでしょう。
各レベルのアスベストの主な使用箇所と建材の例
アスベストは使用されている箇所や建材である程度レベルわけできます。どんなところにどんなものが使われているのか述べます。
レベル1の場合
レベル1に分類されるものは吹き付け材として多く用いられてきました。鉄筋の建物のはりや柱の塗膜、機械室やボイラー室、体育館、工場、学校の天井や壁などに吹き付けられており、防音、結露防止といった目的に使われていました。
レベル2の場合
レベル2に分類されるものは空調ダクト、ボイラーの保湿剤として用いられてきました。また建物のはり、柱の塗膜材、板材、屋根や煙突の断熱材などに用いられていました。
レベル3の場合
レベル3に分類されるものは建物の天井や壁、床などに用いられています。壁やビニール床の建材にアスベストが混ぜ込まれて活用されてきました。屋根の建材としても活用されています。一般的な住宅でも床や壁、屋根にも活用されていることがあります。
アスベストの安全対策を紹介
建物の解体、改修工事などを行う場合、アスベストに対してどのような対策をとればよいのでしょうか。安全対策を行わないと法律に違反するおそれがあるほか作業員や近隣の方の健康を害するおそれもあるためしっかりとした安全対策が必要です。
分析や調査を依頼する
建物を解体、改修工事などをする前に、建材にアスベストが入っていないか確認する必要があります。まずは建材にアスベストが含有されていないか調査や分析を専門業者に依頼しましょう。現地に赴いて業者が建材を採集、分析してくれる場合や採集したものを郵送して分析してもらうといった方法があります。
除去を依頼する
調査や分析を行いアスベストが含有されていた場合は、その後の解体や改修作業を安全に行えるよう除去作業が必要になります。
アスベストの専門業者には分析や調査まで行っているところや分析や調査、除去作業などワンストップで行っている業者があるので業者が対応している範囲はどこまでなのか確認してから依頼するのがよいでしょう。
除去作業を行う場合はアスベストのレベルに応じて適切なばく露対策を行って安全に作業を行う必要があります。レベル別にしっかりと安全対策を行ってくれる業者を選びましょう。
まとめ
アスベストは昔、さまざまな建物に使われてきました。しかし飛び散ったものを人が吸い込んでしまうと肺線維症、悪性中皮腫、肺がんなどの健康被害が出る可能性があることがわかったため、原則的に使用が禁止されました。
そのため古い建物を解体や改修する場合はアスベストが含有されていないかどうかしっかり確認し、もし含有されている場合は除去作業を行って、安全を確保してから作業を進める必要があります。
アスベストが入っているかどうか、どんなものが入っているかどうかは専門業者に調査や分析、処理などを依頼しましょう。調査や分析専門の業者、ワンストップ対応の業者、除去作業を行っている業者などさまざまな業者があるため必要に応じた業者選びが大切です。
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- 「特定建築物石綿含有建材調査者」ほか多数の資格を保有