アスベストは、空気中に飛散する繊維を吸い込むことで健康被害をおよぼすことが分かっており、法律によって事前調査が義務付けられています。今回はアスベストの事前調査について、みなし判定の概要や正しい流れ、事前調査の必要性や法的義務などを詳しく解説しましょう。アスベスト調査を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
アスベストのみなし判定とは?
建物の解体工事などを実施する際は、アスベストが含まれているかどうかについての調査を実施することが必要です。しかし、アスベストにはみなし判定という制度が存在します。ここでは、アスベストのみなし判定について詳しく解説しましょう。
そもそもアスベストとは
そもそもアスベストとは、石綿(いしわた)とも呼ばれる天然鉱物です。安価で丈夫な上、耐火性・断熱性や防音性などの性能にも優れていたことから、高度成長期においてはさまざまな建築物に建材として使用されていました。
しかし、空気中のアスベスト繊維を吸い込むことによって肺がんや石綿肺などの発症リスクがあることが分かり、アスベストの製造・使用が全面的に禁止されるようになりました。
アスベストの除去方法
アスベストの除去方法は、アスベストの発じん性の高さによって異なります。アスベストの発じん性は3段階のレベルに分けられており、とくに発じん性が高いレベル1と、次に発じん性が高いレベル2では、作業場所の隔離やマスク・保護具などの使用が必須です。
もっとも発じん性が低いレベル3では水を使用して湿潤させる除去方法を原則としており、破砕・粉砕などの作業を行わないことで、アスベスト繊維の飛散を防いでいます。
アスベストのみなし判定とは
アスベストの健康被害が発覚したことをきっかけとして、現在では建築物の解体工事・改修工事の際にアスベストの含有有無を調査することが義務付けられています。調査によってアスベストの含有が求められた場合には、現場の状況に合わせた除去作業が必要です。
アスベストのみなし判定とは、アスベストが含まれる可能性が高い建築物において、調査を実施することなくアスベストが含まれているものとして対処する判定のこと。みなし判定により調査の必要がなくなれば、その分トータル費用を抑えられるのがメリットです。
みなし判定の誤解と正しい理解
先述のとおり、アスベストのみなし判定とは、アスベスト調査を実施せずにアスベストが含まれているものとして取り扱う制度です。ただし、調査の過程を省略できるとはいえ、手続きをすべて実施せずに工事を進められるわけではありません。ここでは、アスベストのみなし判定の誤解と正しい流れについて詳しく解説します。
みなし判定により手続きを省略できるわけではない
通常アスベスト調査の際は、書面調査・目視調査を経て試料調査などに移ります。
みなし判定では調査をせずにアスベスト含有建築物として扱うため、すべての調査手順を省略できると勘違いする人もいますが、みなし判定の場合でも原則として書面調査・目視調査を実施しなければなりません。また、調査後は結果報告書を作成し、必要があれば届け出や報告書の備え付けなども必要です。
みなし判定を採用した場合の措置
アスベストのみなし判定では、必要とされる可能性がある措置の中で、もっとも厳重な対応を講じなければなりません。そのため、たとえば特別管理産業廃棄物ではレベル1・レベル2、石綿含有廃棄物ではレベル3としての廃棄を実施します。
事前調査の重要性と法的義務
アスベストの事前調査と調査結果の報告は、法律で定められる義務です。ここでは、事前調査の必要性と法的義務について詳しく解説します。
アスベストの事前調査の重要性
アスベストによる健康被害は、空気中に飛散するアスベスト繊維を吸い込むことによって引き起こされます。アスベスト繊維は空気中に飛散しやすい性質があるため、解体・改修などの作業によって大量のアスベストが飛散すれば、現場作業員や周辺住民の健康に害をおよぼす可能性が高いです。
アスベスト繊維はほんの少量吸い込むだけでも肺がん発症などのリスクがあるため、事前調査によってアスベストの含有有無を明らかにした上で、必要な措置を講じましょう。
法的義務の内容
大気汚染防止法により、床面積の合計が80平方メートル以上の建物の解体工事や、請負代金の合計が100万円以上(税込)の改修工事などを実施する場合は、事前調査の結果を各都道府県に届け出する必要があります。当法律は建物が個人宅であっても適用されるのです。
まとめ
今回はアスベストのみなし判定の概要や正しい流れのほか、事前調査の必要性についても詳しく解説しました。アスベストのみなし判定とは、アスベスト含有有無に関する試料採取などの調査を実施せず、アスベストが含まれているものとして取り扱うための制度です。調査を実施しないという点からすぐに工事を始めてよいと勘違いする人も多いですが、みなし判定扱いの場合であっても書面調査・目視調査は欠かせません。また、調査後は結果報告書の作成も求められます。アスベストの事前調査には現場作業員や周辺住民の健康を守るという重要な役割があり、調査報告書の提出が法律によって義務付けられているのです。
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