建物を解体したり改修したりする際は、アスベストの事前調査を行い都道府県に報告することが義務づけられています。
本記事では、大阪府でアスベストの事前調査を行う際の費用相場と、アスベスト分析や除去に使える自治体の補助金について詳しく解説します。
建物の解体、改修にはアスベストの調査が必須
アスベストの事前調査は、大気汚染防止法、石綿障害予防規則に定められています。令和4年4月1日から一定規模以上の工事については、アスベストの有無に関わらず調査報告が義務化されました。
素材に明らかにアスベストを含まないケース(ガラス、木材、金属、石など)を除き、建物を解体したり改修したりする際には、アスベストの事前調査を行わなければなりません。
アスベストが人体に与える影響
アスベストは肉眼で見ることができないほど細かい繊維からできており、飛散すると空中を浮遊しやすく、吸い込むことで肺胞に沈着しやすい性質を持っています。吸い込んでも一部は痰と一緒に体外へ排出されますが、肺組織の中に残り続けたアスベスト(石綿)はさまざまな病気を引き起こします。
たとえば肺の線維化や肺がん、悪性中皮腫などは、アスベストを吸い込むことによって引き起こされる病気として知られています。ただし、どの程度のアスベストをどのくらいの期間吸い込むと病気を引き起こすのかといった相関関係については、今のところ明らかになっていません。
アスベストの調査費用の相場
アスベストの調査は「事前調査」「分析調査」「粉塵濃度調査」の3つに分けられます。
それぞれどの程度の調査費用がかかるのか、相場について詳しく紹介します。
事前の調査費用
事前調査は、建物の解体や改修前に行われる、アスベストを含有しているかどうかの調査です。書面調査から始まり、アスベストの含有が疑われるかどうかによって、分析調査に進むこともあります。
書面調査では、建物の図面や工事概要、建築物に使用されている建材などを把握することでアスベスト含有の仮判定が行われます。費用は、書面調査のみであれば2~3万円が相場です。
施設管理者や工事業者へのヒアリングが行われることもあり、その場合には5万円程度かかることもあります。
分析の調査費用
事前の書面調査でアスベストの含有が疑われる場合、現地での分析調査が行われます。分析調査には「定性分析」と「定量分析」の2種類があります。
定性分析は、素材そのものにアスベストの定義となる6物質が含まれるか調べるもので、定量分析は、含有が認められた場合に濃度を調べるものです。それぞれにかかる費用は3~6万円程度で、定性分析と定量分析をセットで行うと4~10万円程度に抑えられることもあります。
粉塵濃度の調査費用
アスベストを含有する建物のアスベストを除去したり、建物を解体したりする際には大気中の粉塵の繊維状物質濃度やアスベスト濃度を測定する必要があります。粉塵濃度の調査は、作業現場の安全管理や周辺環境の保全などを目的としています。
粉塵濃度調査にかかる費用の相場は、敷地内環境の総繊維数の測定であれば1箇所5,000円前後ですが、分析走査電子顕微鏡法によるアスベストの同定は15,000円程度かかる場合もあります。1箇所にかかる費用の相場のため、調査すべき箇所が複数ある場合にはプラスされます。
大阪府でアスベストの分析や除去に使える補助金
次に、大阪府でアスベストの分析や除去を行う際に申請できる補助金について紹介します。
大阪府内にある建物の解体や改修を行いたいと考えている方は、ご参考にしてください。
事前の調査や分析の調査に使える補助金
大阪府では、アスベストの分析調査にかかる費用やデータベース作成にかかる費用に対して補助金を受け取れる制度があります。対象となる建築物は、吹付けアスベストが施工されている恐れのある建築物です。
建築物の建材に対するアスベスト含有の有無を調査するための費用について、所定の申請を行うことで補助金が受け取れます。申請方法や条件、補助金の上限はそれぞれの自治体によって異なります。
たとえば大阪市の場合、補助金の上限は25万円です。事前調査や分析調査の結果、アスベストが含まれていなかった場合でも補助の対象となります。
ただし、事前調査や分析調査に使える補助金は、令和7年度末にて終了予定です。
また、大阪市では、令和5年度の補助受付は11月30日に終了しました。申請受付は、自治体によって異なりますが、1年中行っているわけではないため、ご注意ください。
除去する工事に使える補助金
大阪府では、建築物に吹き付けられたアスベストを除去する作業や工事を行う場合も、除去にかかった費用や封じ込め、囲い込みに要した費用に対して補助金が受け取れます。
封じ込めとは、アスベストの含有が認められた建築物や建材を飛散防止剤で覆ったり、アスベスト自体を建築材料で固着させることを指します。一方囲い込みとは、アスベストの含有が認められた建築物や建材を、材木などアスベストを透過しない材料で囲い込むことです。
アスベストの除去に対する補助についても、申請方法や条件、補助金の上限は自治体ごとに異なります。
たとえば大阪市の場合、上限金額は戸建住宅で20万円、戸建住宅以外の場合は100万円となっています。
また、事前調査や分析調査に使える補助金同様、除去工事に使える補助金も令和7年度末にて終了予定です。申請受付時期に関しても、あらかじめ確認しておきましょう。
アスベスト調査会社の選び方
アスベストの含有を調べるには、専門の会社に依頼することをおすすめします。以下では、アスベスト調査会社の選び方のポイントについて詳しく解説していきます。
料金体系が分かりやすいか
アスベストの調査自体がニッチな業界であるため、料金をホームページなどに開示している会社もほとんどありません。依頼すれば事前に見積もりをもらうこともできますが、調査や報告が終わった後になって「報告書作成料」として高額な追加料金を請求されることもあります。
信頼できる会社かどうか判断するためには、事前にきちんと見積もりを出してくれるかどうか、料金体系が明瞭かどうかといったポイントをしっかりチェックしておくことが大切です。
分析にかかる時間
アスベストの事前調査報告は法律で義務づけられているため、調査結果が出るまでは工事や解体に取りかかれない可能性があります。よって、アスベストの調査や分析を依頼する際には「どのくらいの納期で結果が出るのか」を事前によく確認しておきましょう。
一般的には、正式な調査結果や報告書が出るまでに10日~2週間ほどかかるといわれています。
業者によっては、正式な報告書を送る前にメールで簡易的に分析結果を知らせてくれるところもあります。
報告書の品質が適切か
令和4年に法律が改正されたことにより、一定規模以上の工事や改修を行う際にはアスベスト事前調査の結果を都道府県に報告することが義務となりました。報告にあたっては、アスベスト調査会社から送られてくる調査報告書や分析結果などを提出する必要があります。
アスベスト調査会社を選ぶ際には、過去に分析や報告書を作成している実績が十分にあるかといった点も考慮することが重要です。調査報告書や分析結果に不備があったり、様式が適切でなかったりすると、受理されるまでに時間がかかったり、正しく受理されないこともあり、注意が必要です。
まとめ
本記事では、アスベストの事前調査や分析にかかる費用の相場と、大阪府でアスベスト事前調査や除去作業を行う際に申請できる補助金について解説しました。また、アスベスト調査会社を選ぶ際にチェックしておきたいポイントについても紹介しました。
アスベストの事前調査は法律で義務づけられていますが、補助金の活用や、適切な調査会社を選ぶことで費用を抑えることも可能です。大阪府で建物の解体や改修を行いたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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引用元:https://sunteqnos.co.jp/- 20年を超える実績
- 事前調査から分析まで一貫して対応
- 「特定建築物石綿含有建材調査者」ほか多数の資格を保有